コロナに関する監査上の留意事項その7 の公表(日本公認会計士協会)
「新型コロナウイルス感染症に関連する監査上の留意事項(その7)」が3月2日に公表されました(リンクはこちら)
依然としてコロナ禍による不確実性が極めて高い状況が続く中で、
- 「これまでに発出した留意事項に引き続き留意されたし」
- 「会計上の見積り開示基準との関係に注意されたし」
というのが主な内容です。
・これまでに発出した留意事項に引き続き留意されたし:
- 将来は混沌としているが、それでも経営者は「一定の仮定」を置いての計画策定が必要。
- 結果的に現実と乖離が生じたとしても、当時として最善の見積りだったのであれば「誤謬(誤り)」とはならない。
- 評価に際しては、過度の楽観・悲観いずれも適切ではない(過度でなければ許容レンジは平時と比較して広いというニュアンス)。
- 見積りの不確実性に重要性があれば、十分な開示を。
・会計上の見積り開示基準との関係に注意されたし:
- 新規適用される「会計上の見積りの開示に関する会計基準(計算書類より適用)」では、コロナの影響に重要性があるなら記載を。
- 見積開示で十分な開示がなされているなら、同じ内容を追加情報で書く必要はない。
- 一方で、見積開示に書く重要性はない(翌年度の財務諸表に重要な影響を及ぼすリスクが乏しい)が、そもそも「コロナの影響に重要性なし」とした判断自体に重要性がある場合には、それはそれで追加情報として記載されたし。
これらのほか、経営者・監査役との適時適切なコミュニケーションという点も強調されています。
今回は、コロナに加えてKAM(監査上の主要な検討事項)・会計上の見積開示の初回ということもあり、極めて慎重な対応が必要ということだと思います。
竹内由多可