不正のトライアングル:正当化[1]
不正のトライアングルは、動機、機会、正当化です。
2時間サスペンスって、この3つを明らかにしていくストーリーとも言えるんじゃないかと思います。
- 動機:あの人には動機がある(だいたい、何人かいて、順々に絞られていきますね)。
- 機会:いろんなトリックを駆使して、当初はやれそうにない人がやっていた、って感じですよね。
- 正当化:岬で叫びます。「どうしても許すことができなかった!」
現実の事象について、エンターテインメントを引き合いに出すのは不謹慎かもしれませんが、「正当化」の意味合いをわかりやすく示していると思います。
つまり、金銭が欲しくても、そして横領などでそれができるチャンスがあっても、多くの人は良心が咎め、結果的には「やらない」という選択をしますが、その良心を追いやるのが「正当化」ということではないかと思います。
あるいは、「許せない/不公平だ」がために「動機」が生まれ、そして「機会」を見つけ、不正を実行してしまうのです。
正当化の類型は、以下のような感じでしょうか。
- みんなやっている(だから自分だってやってもいいはずだ)
- こんなひどい扱い(サービス残業強制、パワハラなど)を受けているんだから、これくらい許される
- めちゃくちゃな目標設定だから、手段だってめちゃくちゃでいいはずだ
- 業績が悪くなれば皆が困る、だから粉飾をする(こうするのが会社のため) etc.
この「正当化」を生まないためには、
- 不公正をはびこらせない環境の整備/維持
- 善悪の価値判断を間違わせないためのコンプライアンスメッセージを発信、定着させ続ける、といった不断の活動
- トップマネジメントの強いコミット
が重要だと思われます。
気を付けなければいけないのは、立派な制度を作っても、魂が入っていない、つまり、運用が不十分ならかえって逆効果(従業員からは、うわべだけ取り繕っているように見え、一方、マネジメントはハコだけでリスクが低減できていると思ってしまう)ところです。
竹内由多可