循環取引とは[1]

※循環 = ぐるぐる回る というイメージのとおりの不正取引の類型です。

このご時世、「循環」というと、ともすればエコロジカルな感じもありますが、不正用語として使われる「循環取引」は、一言でいえば

  • 架空売上とその足跡を消すために何社かで結託して行われる不正。商社・卸・ソフトウェア系に多い。薄利。

です。

「循環取引」で検索すれば、過去も現在も多くの事例があり、古典的ながら現在においても防止や発見が困難なもの、と言えると思います。

以下で、上記特徴を私なりに説明致します。

  1. 架空売上
    架空売上の対象となった財・サービスは、その役目を果たすことはありません。なぜなら、形式上は通常の売上と何ら変わりませんが、実態としては、次から次へと在庫計上する会社が変わっているだけだからです。わかりやすいパターンだと、倉庫にある在庫が、システム上だけA社→B社→C社→A社と所有権が移転したりします。
  2. 足跡を消す
    売上を計上するということは、売り上げた会社では「売掛金」、売り上げた先の会社では「在庫」が計上されます。これを放っておいては滞留となり、いずれ長期滞留ということで目を付けられ露見してしまいます。このため、売掛金は入金によって消し込まれ、在庫は次の会社に売り上げることで原価に振り替わっていきます。こうして、足跡が消されていきます。
  3. 何社かで結託
    循環取引では形式上は書類や支払は通常の取引と全く同じになっていることがほとんどです。正式な発注書、通常の支払条件。これをやろうとすると、自社だけでは不可能、つまり取引先も巻き込むことになります。
    なお、例えば3社の循環(A社→B社→C社→A社)で、A社とB社が結託していても、C社は、B社から仕入れてA社に売る、というのが通常の商流だと、気づかないうちに循環に巻き込まれていることもあります。循環取引に加わっていたからといって、加わった会社の全てが不正な意図を持って参加していたかはわからない、というのも循環取引の特徴です。
  4. 商社・卸・ソフトウェア系に多い
    商品を仕入れて商品を売り上げる会社であれば、当たり前ですが仕入れるものと売り上げるものは同じです。ソフトウェア会社では、もともとのできあがりが無形(現物ではないという意味)のソフトウェアですから、一部を外注したといっても中身はわかりにくいところがあります。
    逆に、例えばメーカーであれば、自社の工程で何等かの加工をすることに意味がありますから、自社製品を仕入れることもありませんし、仕入れた部品・原材料がそのまま売り上げられることもありえません。
    また、食品や、流行り廃りがある服などの「賞味期限(≒消費期限)」があるものは、物理的に腐ってしまったり、陳腐化したりするため、循環には適しません。
  5. 薄利
    100円で仕入れて100円で売れば、「異常な取引」として目をつけられてしまいます。なので、利益を乗せます。しかし、もともと架空の取引で付加価値を生まないので、多額の利益は乗せられません(決済が苦しくなります)。なので、利益は乗せるが「目を付けられない程度の利益」となることが多いです。
    とはいえ、もともと利幅が薄いビジネスの場合、通常の取引にまぎれてしまい、利益率分析だけで見つけることは困難です。

    竹内由多可