循環取引とは[2]

前回(こちら)、循環取引の特徴に触れました。

  • 古典的ながら今でも発生するタイプで、防止も発見も難しい。
  • 取引先との共謀を伴い、形式的には正常な取引と全く同じ外形であり書類等はきれいにそろっている。
  • 決算期のズレを利用することが多い。なぜなら、期末の在庫や売掛金などはチェックの対象になりやすいが、決算期のズレを利用し、自社の期末には他社に回しておくことで発覚する可能性を下げることができるため。(前回言及し忘れました)。
  • 循環取引が行われる業界は卸や商社、ソフトウェアなどであり、メーカーや生鮮食品、流行モノを取り扱う業種では起きにくい。
  • 古い商慣習(貸し借りや特定のルートでの取引しか認めない得意先の存在など)が残っている場合、もともとグレーな取引が存在するため、循環取引が不正という認識に乏しいこともある(前回言及し忘れました)。
  • 知らないうちに巻き込まれていることもある。

では、自社が循環取引が起きうる業界に属する場合、どのようにすれば循環取引を防止・発見できるのでしょうか。

まず、「防止(予防)」の観点から考えてみたいと思います。

  1. 一番は、「付加価値を生まない循環取引とはこういう取引のことをいう。この取引は不正である。不正な取引を行った者には厳罰で臨む。」ということを繰り返し周知することではないでしょうか。
    様々な取引パターンがある場合は特に、具体的に示すことが有効だと思います。
  2. イレギュラーな取引の場合には、通常より1ランク上の承認者による事前承認を必要にすることで、牽制効果を高めるとともに、巻き込まれリスクも下げることができます(これはおかしな取引だ、上席者が気づける可能性が高まる)。
  3. 売上をKPIにしない、あるいはKPIにするにせよ、他の項目とのバランスを十分考慮する。
    循環をコントロールするのは骨が折れるため、見返りもなくやる人はいません。
    見返りの多くは賞与や昇格です。
    「利益が伴わない売上増に対する評価は控え目にする」など、動機を生まない制度設計は重要です。
  4. 「共謀」といっても力関係から取引先は無理矢理巻き込まれている、というケースもありえますし、周囲の同僚などは「おかしい」と思っていることもありえます。
    内部通報制度の導入や、これを取引先も通報可能にすることは、発見機能はもちろん、事前の牽制効果も見込めます。
  5. どの不正にも共通ですが、ローテーションの確実な実施
    これも内部通報同様、発見機能に加え、「やれても〇年で終わり」「異動したら後任によって露見してしまうだろう」という牽制効果も見込めます。

なお、仕入と販売で担当者を分ける、という業務分掌の発想もありますが、基本的に循環が起きる業界は、分掌をするとそもそもビジネスがうまく回らない、ということが多いために分掌ができていないはずですので、実際に導入できるケースは多くないと思います。

竹内由多可