住宅ローン[1]
住宅ローンは、多くの方にとって一生に一回にして最大の支出ではないでしょうか。
それだけに、「慣れている」という方はほとんどおらず、その後の家計に与える影響も甚大であることから、頭を悩ませることが多いと思います。
住宅ローンが借り入れとして特殊な点は大きく2点、「団体信用生命保険」と「住宅ローン減税」です。
この2点のうち、今回は「団体信用生命保険」についてご説明したいと思います。
団体信用生命保険とは、一言で言えば「ローン返済期間中に借入人が死亡(や高度障害)した場合には、ローンの残額が保険金として遺族に支払われる」という生命保険です。
これがどういう効果をもたらすかといえば、借入人が死亡すると、ローンの支払原資である給与収入がなくなることになり、遺族はローンの支払いに難儀することになりますが、保険金がローン残額分支払われるため、遺族は返済困難となってマイホームを失うことはなくなるということです。
住宅ローンを組むときには、この、団体信用生命保険の存在を考慮に入れる必要があります。
具体的には、頭金をいくらにするかが極めて重要となります。
例えば、貯金1,200万円で5,000万円の住宅を購入しようとしたときに、頭金をいくらにするのがよいのでしょうか?
私は、頭金は少なければ少ないほどよいのではないかと考えます。
死亡する可能性が同じであれば、生命保険で支払われる金額(ローン残額)の期待値が高いほど有利となるからです。
もちろん、その分保険料は高くなりますが、それを考慮しても頭金が多い方が有利だと思います。
ローンは当然ながら借金であり、借金は少なければ少ない方がよい、というのは価値観として重要だと思います。
しかし、仮に上記例で頭金を1,000万円にしてしまうと、急な出費の可能性に対して貯金200万円では心許ありません。
また、もし借入人が死亡したときに、保険金により、ただちにマイホームを失うことはないかもしれませんが、その後も固定資産税や、マンションであれば修繕積立金など不動産を所有することに伴う支出は続くため、遺族は貯金200万円では行き詰まり、最悪、マイホームを失ってしまうことすらありえます(もちろん、退職金や公的な遺族補償もありますが)。
ところが、頭金が200万円ならば、借入人が死亡しても貯金はまだ1,000万円ありますから、資力としては余裕があると言えると思います。
ここまで、頭金は少ない方がよいというトーンでご説明してきましたが、一方で、頭金が少なくなれば、ローンが大きくなり、利払い負担が大きくなるのでは?ということになります。
これについては、「住宅ローン減税」を考慮する必要があり、次回、ご説明します。
竹内由多可