為替レートの変動が財務諸表に与える影響

この3か月ほどで、かなり円安ドル高が進行しました(図はYahoo!より)。

2020/12末では103円台だったのが、現在では108円~109円の水準になっています。
(2012年が80円だったことを思うと、やはり為替というのは大きく動くものだという印象を受けます)

この為替変動ですが、様々な形で業績に影響を与えます。

  1. 外貨仕入や外貨売上に直接的に影響し、損益を変動させる。為替予約等にて緩和可能
  2. 外貨建債権債務の期末換算に影響し、為替差損益によって損益を変動させる。為替予約にて緩和可能
  3. 海外子会社の貸借対照表の期末換算に影響する。
  4. 海外子会社の損益計算書の換算に影響する

1,2は、為替予約等によって緩和可能なので、会社自身、ある程度コントロール可能と言えると思います。

しかし、3,4はなかなかコントロールは難しいと思います。

3の、貸借対照表の換算が与えるインパクトはそれほどでもないと思いますが、4の損益計算書の換算は、売上と利益に直撃することと、特に第1四半期(3か月)のように期間が短いときには、インパクトが相当大きくなることがあると思います。

例えば、12月決算会社で、新年度のレートを103円で業績見通しを策定していたところ、1Q(1-3月)の平均レートが108円となると、子会社の利益が同じ1,000万ドルであったとしても、103円と108円では10億3千万円と10億8千万円と、換算だけで5%程度の違いが出てしまうということです。

ただ、このレート影響による増益が将来の成長に必ず結びつくかといえばそうとも限らず、例えば親会社に配当して親会社が研究開発に充当するのであれば、配当時のレートが重要となりますし、海外子会社が設備投資を行い、当該設備が輸入製品なら当該国での輸入時のレートが重要となるでしょう。

とはいえ、日本企業の場合、業績を「円」で開示する必要があるため、瞬間的には円安による換算増によって業績が「良くなる」という見た目にはなります。

場合によっては、この為替影響が「増収と減収」「増益と減益」を分けるケースもあると思います。

新聞等で、見出しが増収か減収か、増益か減益かで、読み手が受ける印象は大きく異なると思いますが、為替が大きく動いているときは、為替の影響を慎重に読み取る必要があります。

竹内由多可