架空在庫[1]

架空在庫という言葉だけ見ると、「在庫」が「架空」とはどういうことか、となるかもしれません。

しかし、在庫を分解すれば、架空在庫というのはそれほど難しいものではないというのがわかるかと思います。

在庫の金額 = 単価 × 数量

ですので、単価か数量のいずれかあるいは両方を、実際のものよりも多くすることで、在庫の金額を嵩上げする、という不正です。

在庫の金額を嵩上げすると何が起きるか、ですが、基本的に、在庫の金額と売上原価は、総額(期首在庫+当期仕入)が同じであれば、どちらかが増えればどちらかが減る、という関係にあります。

このため、在庫が嵩上げされた分だけ、売上原価が目減りすることになります。

売上原価が目減りすると何が起きるかですが、売上から売上原価を引いたものが売上総利益(粗利)ですから、粗利が大きくなるということになります。

粗利が大きくなれば、その下の営業利益、経常利益、税前利益、当期純利益と、全ての利益が大きくなりますから、効果も大きいと言えると思います。

売上を操作する不正は、売上が社外との取引であるため、得意先の協力が必要であったり、売掛金をどう消し込むかといった難しさがあります。

一方、在庫金額の不正は、社内にある在庫の金額を、在庫(資産)と費用(売上原価)に振り分けるところを操作するだけであり、言ってみれば社内で完結する不正の手法と言えますので、やりやすいといえばやりやすいものです。

架空在庫にはどのような手法があるのかなどを、この先、見ていきたいと思います。

ご参考になれば幸いです。

竹内由多可