架空在庫[2]

架空在庫とは、単価か数量のいずれかあるいは両方を、実際のものよりも多くすることで、在庫の金額を嵩上げする、という不正です。

今回は、「単価」を嵩上げする手法について、説明します。

【メーカーの場合】
・標準原価を意図的に高く設定する

【小売業の場合】
・売価還元率が高くなるよう、計算プロセスに虚偽のデータを混入させる

【業種問わず】在庫評価損を計上しなくてすむように、
・翌期における、販売見込みがあるかのように理論武装する
・回転期間が長期化しないように、倉庫間移動や、得意先に要請をしての出荷-返品を行う

このような不正を行う理由としては、例えば工場長クラスであれば、工場損益が悪化している事実を隠蔽したい、小売業であれば粗利が悪化していることを隠蔽した、担当者クラスであれば、不良在庫を抱えていることを知られたくない、といったようなケースが多いと思われます。

ただ、「単価」と「数量」のいずれを操作する不正が多いかと言えば、「数量」を操作する方が多数派ではないかと思われます。なぜなら、「単価」は現在はそのほとんどがシステム登録されており、これを操作するのは容易ではないためです。容易ではないとは、一つには協力者(システム部門や単価担当者など)が必要になるということであり、二つにはシステム上などに痕跡が残りやすいということです。
(逆に、手書きの棚卸表を使っているのであれば、そこで値札から単価を転記するときに、高い金額で、というのも考えられますが、今のご時世そのような在庫管理しているケースはほとんどないでしょうし、不正の費用対効果としてもやる価値はないものと考えられます)

では、「数量」を操作する不正にはどういった手法があるのか、これは次回説明したいと思います。

ご参考になれば幸いです。

竹内由多可