KAM(監査上の主要な検討事項)[3]

KAMは、「2021/3/31決算から強制適用開始」です。このため、この6月には、一挙に2,000社を超える上場会社のKAMが公表されることになります。

KAM導入に際して強調されているのは、「ボイラープレート化してはならない」ということです。

実際、各社にはそれぞれ固有の歴史、社風、規定、業種業態、仕入先、工程、得意先等々がありますので、監査をする際のリスクも、少なくとも営業項目関連(売上・仕入・在庫関連)であれば、それぞれがオリジナルであり、他社と同じケースなどそもそもありえないと思われます。

※逆に、時価のある有価証券の評価や、退職給付関連の評価などでは、会計処理が一律であるためリスクも一律ということもあると思います。

しかし一方で、そもそも全般的にリスクが低く、「相対的」ということで、リスクは低いもののKAMとして登場することになった項目の場合、リスク事態にオリジナリティが乏しく、どう書こうか悩んでしまうケースもきっとあるのだろうと思います。

とはいえ、早期適用事例はグローバル大企業や金融機関、IFRS採用企業が多く、あまり参考にならない。さてどうしたものか・・・と悩んでいる監査チームが今でも少なからずあるのではないかと推察します。

KAMは、これまでの日本における監査の歴史からすると、劇的なほどに監査人に自由を与えた制度です。

字数も構成も、箇条書きや図表を使うも使わないも自由、KAMをいくつ書くかも自由です。

そして、監査人は、守秘義務もあり、これまで個々の監査業務の内容について、自身の言葉で世の中に向かって発信することはほとんどありませんでした。

だけに、財務諸表利用者に対して自分の言葉で説明することに全く慣れていません。

そして、書く内容自体は監査先の「リスク」に関することですので、どこまで詳細に書いてよいのか、どのように書けば誤解を招かないのかなども悩むところです。「リスク」はどうしても、弱点や危険な箇所を示すという要素があるだけに。

それが、6月に2,000社、「せえのっ」で開示される(もちろん、入念に事前準備をし、会社とも幾度も協議をした上だと思いますが)。

この6月の有価証券報告書は、そういうKAMが開示されるものとなります。

関心のある企業については、今年は監査報告書まで見てみるのもよいのではないでしょうか。

ご参考になれば幸いです。

竹内由多可

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