西華産業 子会社元社員による不正行為についての考察

2021/5/21における同社の適時開示にて、西華産業における子会社元社員による横領事案の調査結果の報告がなされていました。

”本不正行為の概要(同社公表資料より)”
”子会社の元社員が管理を担当する外注工事を対象に、外注先からの請求金額を不正に増額し、かつ、支払先銀行預金口座を自身の支配する口座に変更する等した偽造請求書を用いて、不正増額分を領取し、当該子会社に損害を与えたものです。本不正行為は 2008 年3月から 2019 年3月にかけて行われ、その被害金額は 3.32 億円に上るものであることが判明しました。”

同社は、毎期20億円~30億円の経常利益を安定的に計上じており、本不正は経営の根幹を揺るがすようなものではないと思われます。

しかし、

・不正が11年間にわたったこと
・結果、従業員不正の被害額が3億円を超える金額となったこと(単純計算すると毎年3,000万円ですから個人不正としてはかなりの規模と思われます)

は、内部統制の観点から学ぶべきことがあると思われます。

それは、「子会社における外注工事の業務プロセスにおけるコントロールが適切だったか」というのはもちろんですが、

・11年間元社員について異動がなかったこと

ではないでしょうか。

内部統制を厳格にするのにはコストを要しますし、また、どれだけ厳格にしても抜け道をゼロにすることまでは困難であり、また、共謀されればたちまち無効化されてしまいます。

そして、各人の心の内まではわかりませんので、誰が不正を行う動機を持っているか、チャンスをうかがっているかということも事前にわかることはほとんどありません。

となると、やはり大事なことは、「『機会』が与えられている可能性がある場に、長くは留めないこと」、つまり、異動を適切な頻度で行うことではないでしょうか。

もちろん、漫然と異動を怠っているということはなく、「ノウハウやコネクション等々より、余人をもって代えがたい」など「変えられない」理由があるとは思います。

しかし、「変えない」場合には、「不正の潜在リスク」を高めてしまっている(潜伏期間を長くしてしまっている)、というのも事実であるということを意識しなければならないと思います。

このことを認識した上でも、あえてリスクを許容するという判断もあろうかとは思いますが、私としては、不正が引き起こす様々なダメージの大きさに鑑みると、定期異動を例外なく実施する、というのがベターではないだろうかと考えます。

※適時開示内容から推察しておりますので、開示されていない実際の事実関係に照らした場合には不適切なコメントとなっている可能性があります点、ご了承ください。

ご参考になれば幸いです。

竹内由多可