KAM(監査上の主要な検討事項)開示事例

★2021/3期決算の有価証券報告書のEDINET開示が始まりました。

2021/3決算よりKAMの強制適用が始まります。

EDINETで検索した結果、現時点(2021/6/3)では以下の2社の有価証券報告書提出がありました。

KAMの概要を簡単に整理してみました。

会社名連単KAM個数連単KAM内容監査人
きもと連あり1同じ繰延税金資産太陽
スクロール連あり1同じ固定資産減損EY新日本

(固有の記述と見受けられる部分(主なもの))

きもと:
「将来の課税所得の見積りは、会社の将来の事業計画を基礎としており、そこでの主要な仮定は、国際的な経済状況に基づく受注環境の見込みと原材料価格の変動の見込みである。」

スクロール:
「会社は2020年5月にスクロールロジスティクスセンターみらい(以下「SLCみらい」という。)の稼働を開始した。これに係る有形固定資産の当連結会計年度末の残高は4,911百万円であり、当連結会計年度末の連結貸借対照表における有形固定資産合計の35.8%を占めている」

「事業計画の見積りに用いた主要な仮定は、SLCみらいを利用する顧客の獲得件数に係る予測及び顧客当たりの平均取扱数量の予測並びに通販市場の成長率である。これらの主要な仮定は会社が運営する他の物流拠点の顧客獲得実績や稼働状況など、入手可能な会社内の過去実績を基礎とした上で、外部機関が公表する分析レポート等の外部情報を考慮して設定」

概観した印象では、有価証券報告書の前半(設備の状況、事業等のリスク等)や後半(会計上の見積りの注記)で全く触れていないことに言及しているものではありませんでした。

ですが、意味合いとしては「監査人としては『これを主要な検討事項と判断した』」という明確な表明であり、監査役会もこれを妥当と判断しているということですから、このKAMがスタート地点となり、「これよりも〇〇のほうがリスクが高いようにも思われるがどうか」「このKAMに関連するガバナンスは十分か」といった形で、株主・投資家と会社との議論が深まれば、監査の実効性や監査への理解、関連する領域のガバナンス意識も高まり、結果として資本市場の信頼性も高まっていくのではないか、と思いました。(そうなることを期待しています)

ご参考になれば幸いです。

竹内由多可