KAMを読む_トヨタ自動車

3月決算、4月決算までKAMが出そろいました。

影響力の大きい会社、気になる会社など、随時紹介したいと思います。今回はトヨタ自動車です。

トヨタ自動車は2020/3に早期適用しているため、2回目ではありますが、USGAAP→IFRSに変わっていること、1回目と2回目で何が変わっているかということもあり、取り上げてみました。

【業績概要】

会計基準IFRS
売上高27,214,594
当期純利益2,245,261
総資産62,267,140
単位百万円
決算日2021/3/31
会計監査人PwCあらた監査法人
会計監査人事務所名古屋事務所

KAMは2つ記載されていました。いずれも2020/3と同じ項目です。

KAM1名称製品のリコール等の市場処置に係る負債
監査上の主要な検討事項の内容及び決定理由トヨタ自動車株式会社は製品のリコール等の市場処置に係る負債を見積り計上している。2021年3月31日現在、製品のリコール等の市場処置に係る負債は1,034,981百万円であり、連結財政状態計算書の品質保証に係る負債に含まれている。会社は、製品のリコール等の市場処置に係る負債のうち大部分を、ある一定期間に販売された様々なモデル全体を地域毎に区分したうえで、製品販売時点において包括的に算定している。しかしながら、会社は、状況によっては、特定の製品のリコール等の市場処置に係る負債については、それらの支出が発生する可能性が高くかつ合理的な見積りができる場合に、個別に見積る方法で算定している。包括的に算定された負債の見積りに当たっては、経営者の見積りは、「リコール実払い累計額」及び「過去の費用の発生パターン」 に基づいている。
製品のリコール等の市場処置に係る包括的に算定された負債を監査上の主要な検討事項として決定した際の主な検討事項は、以下のとおりである。
・経営者が負債を算定する際に重要な判断が要求されており、そのため経営者の重要な仮定を評価する手続の実施に当たり、監査人による主観的な判断が必要であったこと。
・包括引当の見積りに用いられた「リコール実払い累計額」及び「過去の費用の発生パターン」に対して重要な監査手続が必要であったこと。
・当該重要な監査手続の実施及び入手した監査証拠の評価に当たり、専門家の関与が必要であったこと。
監査上の対応当監査法人は、製品のリコール等の市場処置に係る包括的に算定された負債について、主として以下の監査手続を実施した。
・見積りに使用された重要な仮定の決定や基礎データに関連する内部統制を含む製品のリコール等の市場処置に係る包括的に算定された負債に係る内部統制の運用評価手続を実施した。
・経営者が使用した重要な仮定の合理性の評価を含む負債の見積方法と、基礎データの網羅性と正確性を検証した。
・経営者が使用した基礎データ及び当監査法人が独自に設定した仮定に基づき、合理的な負債の見積りの許容範囲を設定し、経営者が算定した負債と比較するに当たり、専門家を利用した。

赤字でハイライトしましたが、監査人が利用した「専門家」が、何の専門家なのか、読み取れないですね。

統計学なのでしょうか、複数の分野の専門家なのでしょうか。想像はできても、書いてない限りは、わかりません。

ここは、「公認会計士だけでは十分な監査証拠を入手できない」と判断した領域でしょうから、明記してあるほうが、利用者の理解により資するのではないでしょうか。

KAM2名称 金融事業に係る債権のうち小売債権に対する金融損失引当金
監査上の主要な検討事項の内容及び決定理由 トヨタ自動車株式会社は、金融事業に係る債権のうち小売債権(以下、「小売金融債権」という。)に対して、予想信用損失を見積って金融損失引当金を計上している。2021年3月31日現在、連結財政状態計算書上に15,048,433百万円の小売金融債権が計上されており、この小売金融債権に対して、198,204百万円の金融損失引当金が計上されている。小売金融債権に対する予想損失は、信用リスク評価プロセスの一環として行われている体系的かつ継続的なレビュー及び評価、過去の損失の実績、ポートフォリオの規模及び構成、現在の経済的な事象及び状況、担保物の見積公正価値及びその十分性、経済状況の動向などの将来予測情報、並びにその他の関連する要因に基づき、測定している。すなわち、これらの基礎データを使用して債務不履行の確率と債務不履行時損失率を算定し、現在及び将来の経済状況の予測に基づく調整を反映させて予想信用損失を見積っている。連結財政状態計算書の小売金融債権及び金融損失引当金の残高は、それぞれ米国における残高が過半を占めている。
 
小売金融債権に対する金融損失引当金を監査上の主要な検討事項として決定した際の主な検討事項は、以下のとおりである。
・債務不履行の確率及び債務不履行時損失率の仮定、並びに現在及び将来の経済状況の予測に基づく調整の決定に当たり、経営者の重要な判断が要求されており、それらの合理性の評価手続の実施に当たり、監査人による主観的な判断が必要であったこと。
・経営者が使用した金融損失引当金の見積りに関する監査証拠の評価において、監査人の複雑な判断が必要であったこと。
・当該重要な監査手続の実施及び入手した監査証拠の評価に当たり、専門家の関与が必要であったこと。
監査上の対応 当監査法人は、小売金融債権に対する金融損失引当金について主として以下の監査手続を実施した。
・引当金で使用する仮定及び調整の決定において使用する過去の実績等の基礎データに係る内部統制を含む、引当金に関連する内部統制の運用評価手続を実施した。
・債務不履行の確率及び債務不履行時損失率の仮定、並びに現在及び将来の経済状況の予測に基づく調整の決定を含む、会社の見積方法を検証した。
・経営者が使用した債務不履行の確率及び債務不履行時損失率の仮定、並びに現在及び将来の経済状況の予測に基づく調整の合理性を評価するに当たり、専門家を利用した。

昨年の開示と比較すると、主な変更点として、青字の部分が追加されています(もちろん、同文が財務諸表注記に記載されています)。

昨年のKAMでは「引当率は、主として過去の損失の実績、現在の経済的な事象及び状況、並びにその他の関連する要因等に基づき決定されている」という記述でしたので、比較すると、読みやすくなっているという印象を受けました。

ただ、こちらもKAM1同様、「専門家を利用した」とありますが、何の専門家かわからない記述です。

ご参考になれば幸いです。

竹内由多可